院長の知恵袋

日焼け

  • 2014.7.12

 日焼けとは、メラニンの保護能力を超えた日光(その中でも特に紫外線)の過剰照射によって皮膚が焼けることをいい、深度Ⅰ~Ⅱ度のヤケドの一種です。

 また紫外線はUVA(長波長紫外線)、UVB(中波長紫外線)、UVC(短波長紫外線)の三つに分けられます。ちなみにこの中のUVCだけは大気層で吸収されるため、地表には到達はしません。

 そして一口に日焼けと言っても、この現象は2種類あります。一つはUVBが真皮にまで達すると毛細血管が防衛反応を起こし充血することによって肌が赤くなり痛みを発症させるサンバーン(Sunburn)、サンバーンにおいてこの武ウエイ反応の許容量を超えると皮膚の細胞組織が傷つき、発熱、水泡、痛みが起きますがこれを医学的に「日光皮膚炎」と言います。もう一つはサンバーンが起こった後にUVAがメラノサイトに働きかけてメラニン色素が沈着して肌が黒く(実際は褐色)なるサンタン(Suntan)です。サンタンは痛み起こしませんが、シワ、タルミの原因となります。

 かつては健康の象徴の様に思われていた日焼けによる褐色の肌ですが、近年では医学的見地から日焼けは皮膚を傷めつけ、皮膚ガンや白内障を発症、誘発させるとして極力避けるべきとされています。

スポーツドリンク

  • 2014.7.11

 運動などで発汗が起こりますが、汗の成分は99%は水分ですが、0.5%はミネラル類でミネラルの中でもナトリウムが多く含まれます。このため汗は塩辛いのです。

 スポーツドリンクは体液にほぼ近い浸透圧を持つため、激しい運動によって失われた水分、ミネラルを速やかに補給してくれる飲料です。逆に言えば、それほど激しくない運動、もしくは日常生活にはスポーツドリンクの糖分は高すぎるため適しません。普段の生活や軽い運動には水で充分です。

 また、激しいスポーツ時の場合、本来ならスポーツドリンクということになるのですが、最近では様々な種類のスポーツドリンクが出ており、糖度が0%に近いものもあれば、上は20%くらいのものまであります。糖度が高い、すなわち甘すぎるスポーツドリンクをプレイ中に飲むことは疲労回復の妨げになり、パフォーマンスの低下に繋がります。プレイ前、プレイ中などは糖度が5%くらいのものがベストで、糖度が高い場合は水で薄めたりすることで調節するといいでしょう。

神農

  • 2014.7.10

 本草学とは漢方薬の材料である生薬を研究する学問です。中国において最古の本草学の本は「神農本草経」とされますが、これは神農の著作ではなく、神農が活躍したとされる紀元前2740年前よりも後の、後漢の時代にできたもので、神農の名前にあやかったものと考えられます。

 では、神農とはどんな人物かというと、古代中国の皇帝で、火徳の王であったので炎帝とも呼ばれます。神農は人々に医術と農耕の術を広めた人物で中国では医薬と農業の神様として崇められています。

 言い伝えによれば、神農は百草を嘗めて、毒か薬か、体を冷やすか、熱を温めるか、またどんな香り付けや味付けが良いかを調べ、そこから発見した植物の育て方を人々に伝えたと言います。それらの功績が、神農が医学の祖、そして農耕の祖とされる所以なのです。

 神農の容貌は、身の丈八尺七寸の人身牛頭と言われますが、絵や像などでは、頭に短い角を生やし、長い髯を蓄えた、腰蓑をつけた男性像がよくみられます。

親知らず

  • 2014.7.9

 人間の歯は、成人で28~32本あります。生後6ヶ月ごろから生え始め、3歳くらいまでに乳歯が生えそろい、その数は20本です。

 最初の記述した28~32本、この4本分の幅は、俗に言われる「親知らず」を指します。この「親知らず」、正式名称は第3大臼歯と呼ばれ真ん中から数え8番目に当たります。人によっては「親知らず」が生えてこないという人もいますが、成人後に生え始めることが多く、昔は人の寿命が短かったので、「親知らず」が生えてくるころには親が亡くなっていることが多かったために「親知らず」と呼ばれるようになったと言います。

 

 「親知らず」はきちんと生えれば問題が無いのですが、横や斜めに生えてくると、歯茎やあごの骨を圧迫し炎症を起こしたり、歯が磨きにくくなるため虫歯を誘発するなど、よくトラブルを起こしやすい歯です。近年の日本人は固いものをあまり食べなくなったので、顎が小さくなってきたために「親知らず」がきちんと生えづらくなっています。

永田徳本

  • 2014.7.8

 永田徳本は戦国時代後期から江戸時代初期にかけて活躍した医師で、「16文先生(18文とも言われる)」「甲斐の徳本」の呼び名を持つ名医でした。

 その経歴は伝説的要素が強く、出身は三河とも甲斐とも言われ、医学を修めてからは信濃甲斐に移り住み、時の戦国大名である武田信虎、信玄の侍医を勤めていましたが、信虎が信玄に領国から追放されてからは侍医を辞し、信濃の諏訪に移り住み、牛の背に乗り、一服16文と書いた薬袋を提げ「甲斐の徳本、一服16文」と声を上げ薬を売り、どんな病人を診ても治療費は16文しか受け取らなかったと言います。

 

 江戸初期に入ると徳川幕府二代将軍秀忠が大病を患い多くの医師がいろんな薬を処方しても治らなかったのですが、徳本が処方した薬を飲むと病気は治ったそうです。そしてこの時も徳本は16文しか治療費を受け取らなかったのです。

 徳本は、最後は信濃の岡谷に移り住み118歳と言う記録が正確なら驚異的な寿命を全うし人生に幕を降ろしたのでした。

 ちなみに、製薬会社の「トクホン」は縁者と言うわけではないのですが永田徳本から名前を取っているそうです。

乗り物酔い

  • 2014.7.7

 乗り物酔いは、医学的に言えば「動揺病」、「加速度病」などと呼ばれます。症状は、むかつき、冷や汗、顔面蒼白、、吐き気を起こし、さらに悪化すると嘔吐します。

 原因は船やバスなどの乗り物に乗った時、加速や減速、或いは乗り物の揺れによって、耳の器官である三半規管が感じる平衡感覚と、目に入る視覚情報、そして体の筋肉が感じる知覚にズレが生じて起こると考えられています。

 予防法は、乗り物によっても変わりますが、全般的に共通することは睡眠を十分にとり、空腹や食べすぎは避け、おしゃべりや音楽などで気を紛らわせ、遠くの景色を見て読書のような下を向くということはせず、酔い止めの薬を30分前には飲んでおく、などがあります。

ビタミンの発見

  • 2014.7.6

 1911年にイギリスのカシミール・フンクが脚気の予防に有効な成分の抽出に成功しました。この成分に生命に必須のアミンという意味を込めてビタミン(生命のアミン)と名付けたのでした。この発見によりビタミンは広く世界に知れ渡ることになりました。

 しかし、これより1年早く日本の農芸化学者である鈴木梅太郎が世界で初のビタミンの抽出に成功していたのでした。

 当時の軍隊ではB1欠乏症の一種である脚気にかかる者が多く中には死亡する者も少なくはない状態でした。そのため当時の軍医らは脚気の研究していたのでした。

 そのような中で白米の栄養価の研究をしていた鈴木梅太郎が米糠の中に脚気を治す成分、オリザニン、後のビタミンB1の抽出に成功したのでした。しかし、この発見の論文を日本語で発表したため世界的に知られることはなかったのです。しかも、日本においても鈴木梅太郎が農芸化学者ということもあり、発表当初は日本の医学界では相手にされなかったそうです。

 鈴木梅太郎の功績が評価されるのにはしばらくの時間を要したのでした。

ビタミン

  • 2014.7.5

 ビタミンとは、糖質、脂質、たんぱく質、ミネラルに並ぶ五大栄養素の一つとされ、僅かな量で生きていくのに必要な生理作用を正常に働かせるという有機化合物でありながら、体内で合成できないものの総称です。ちなみに名前の由来は生命活動に必須のアミン(vital amine)ということです。

 学者から様々なビタミンが発表されたが、検証の結果幾つかは同じ栄養素であったり定義に当てはまらないものだったりと判り、現在は13種類となっています。また、ビタミンはその性質から水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分類できます。

 

 まず、水溶性ビタミンはビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCの9種類です。この水溶性ビタミンは水に溶けやすく、調理の際は長時間の水洗いや過熱は避けなければなりません。また、多く摂取したとしても尿中から排出されるので過剰症(皮膚発赤反応、運動・知覚障害など)の心配が少ないですが、欠乏症(壊血病、神経障害など)の心配があります。

 そして、脂溶性ビタミンはビタミンA、D、E、Kの4種類です。脂溶性ビタミンは油に溶けやすいので油と一緒に調理するとより吸収・蓄積されやすくなります。当然、水溶性とは逆になるので欠乏症(夜盲病、クル病など)になりにくい反面、過剰症(胎児の奇形の発生、高カルシウム血症など)になりやすいです。

スタスティックストレッチ

  • 2014.7.4

 スタティックストレッチは静的ストレッチで一般的に知られているストレッチはこれに当たります。

 

 スタティックストレッチ目的とする筋肉をゆっくりと伸ばし、筋肉が痛みを感じる手前、緊張を感じるポイントまで伸ばします。そこまでもっていって適当な時間その姿勢をキープします。この時間は20秒とするところが多いですが、問題は秒数ではなく筋肉がリラックスしスーッと伸びていく感覚を得るところまでやるということにあります。また、この時は筋肉が緊張しないように呼吸を止めずに行うことが大事です。

 そして、注意しておきたいのは「代償行為」です。例えば地面に両脚を伸ばす形でで座り上体を前に倒すと大腿後面にあるハムストリングスという筋肉が伸ばされます。しかし、ハムストリングスが柔軟でなければ状態を倒す力を逃がすためにつま先が外側に開くという代償動作が起こるのです。ですからストレッチをする時は目的の筋肉を意識して代償動作が起こらないように正しいフォームを行うこともしくは正しいフォームを崩す程の負荷をかけないというのが大事になります。

 また、人は大なり小なり左右差があり筋力や柔軟性においてもそれが当てはまります。この左右差は運動能力に影響を与えるのでストレッチの際は左右均等をできるだけ心がけることが必要です。

ストレッチの分類

  • 2014.7.3

ストレッチによって得られる効果

1. 筋肉および腱などの軟部組織の柔軟性の改善により関節可動域の増加

2. 血液循環の改善

3. 筋肉の緊張緩和によりリラックス感の獲得

4. 肉離れ、靭帯損傷などの運動による損傷の予防効果

5. 神経機能の向上

6.筋萎縮の抑制

ストレッチの種類

ストレッチは大きく分けて二つあり、一つは静的なストレッチであるスタティックストレッチング、もう一つは動的なストレッチであるバリスティックストレチッングとダイナミックストレッチングである。

1. スタティックストレッチング:目的の筋肉をゆっくりと動かし、筋肉が痛みを感じるところまでは追い込まずに、緊張を感じるまで伸ばし、その状態を20秒程度持続します。時間は団体・学者によっては20秒から60秒と幅はありますが、20秒以下ということはありません。

2. バリスティックストレッチング:目的の筋肉にはずみをつけて目的の筋肉を伸張させるというやり方で柔軟体操や日本のラジオ体操がこれに当たります。しかし、この方法は慣性を使って筋肉を伸ばすためコントロールを失いがちになるため競技スポーツの世界では使われていますが、一般の人たちが行うフィットネスでは使われなくなりつつあります。

3. ダイナミックストレッチング:目的の筋肉の拮抗筋を意識して収縮させることによって、目的の筋肉を伸張させていくという方法である。単純な曲げ伸ばしなどもあれば、実際の競技の動作を行って、その動作に必要な柔軟性だけでなく筋群間の協調性を高めるという効果もあります。また前述のバリスティックストレッチとは違い反動はつけずに行います。

4. PNFストレッチ:固有受容性神経促通法(proprioceptive neuromuscular facilitation)を取り入れたストレッチで、目的の筋肉を下腿三頭筋とすると、下腿三頭筋をストレッチした後に拮抗筋である前脛骨筋を緊張させることで下腿三頭筋を弛緩させて、下腿三頭筋にさらにストレッチをかけるというものである。このストレッチは専門的な技術と監督が必要なため、一般で行われるよりも医療の現場、リハビリテーションで用いられる。

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